2003年9月26日に発生した十勝沖地震は、釧路町、厚岸町、浦河町を中心に大きな揺れを観測し、様々な構造物に被害をもたらしました。そのような状況の中で、DEPP工法により耐震補強された港湾構造物を現地調査した所、ほとんど地震による被害を受けておらず、DEPP工法による高い耐震性能が大型地震により実証されましたので、ここに概要を報告いたします。
(1)釧路港東港副港地区漁港埠頭
1)岸壁構造
岸壁は当初-7.5m 矢板式岸壁として昭和55年度に完成したものです。その後、当該岸壁は1993年の釧路沖地震で壊滅的な被災を受け、漁獲物の陸揚施設としての利用に著しい支障をきたした為、岸壁法線を20m前出しし、構造もケーソン式の重力式岸壁としました。その後、1994年10月の北海道東方沖地震により、エプロン部が液状化により陥没したため液状化対策を実施し、エプロン部と一部建屋の下までスパイラルドレーンまたはグリッドドレーンを打設しました。
ドレーン打設に際し、エプロン部を覆っていた屋根の一部を撤去しましたが、建屋から約6m部分は撤去不可能であったため、ドレーン打設機をできるだけ建屋に近づけ、そこから最大30゜の角度でドレーンを斜めに打設し対処しました(図−1
参照)。 |